ドラマ 「カルテット」を自分勝手に語る
「カルテット」が面白い
こんにちは、たき子です。
この冬のドラマのなかでも一番のお気に入りは「カルテット」。
謎や嘘や恋や演奏。家族や友情やいろいろなものを独特の台詞で描いているドラマです。
おだやかなようで意外と頑固な別府さん役の松田龍平さん。
こだわりが強いビオリスト。
ウザ面白さが絶妙なバランスを醸し出す家森さん役の高橋一生さん。
別府さんのベッドに潜り込みペットボトル1本分まで顔を近づけた小鳥のような横顔、役名もぴったり、すずめ役のの満島ひかりさん。
落ち着いた人妻の風情なのに案外毒舌の巻真紀さん役の松たか子さん。
別府さんの真紀への告白を「(すずめちゃん)聞いてましたよね」と確認しているのに、別府が好きなら積極的に働きかけるよう助言するし、来杉有朱さん役の吉岡里帆さんに初対面でいきなり「目が笑ってませんよね」と言いにくいことをズバッと言うし。
掴みどころのない4人の中でもとりわけ掴みどころのない役柄です。
この他、真紀に目が笑ってないと指摘された有朱さん。
怖い怖い、この人最初から一番怖かった。人との距離の取り方が絶妙に怖い。
4話でとうとう本領発揮!ですね~。
これ以外にも、真紀の義母役もたいまさこさんや、ニセ余命9か月その名も怪しいベンジャミン瀧田役のイッセー緒方さんなど、一癖も二癖もある旨い役者さんが勢揃いの「カルテット」。
以下は自分勝手な感想です。
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勝手に選んだベストシーン
前半4話までのベストシーンを私目線で振り返ってみました。
◆唐揚げにレモンをかけるか否かのシーン
唐揚げに断りもなくレモンをかけた行為に対し、レモンをかけたい人とかけたくない人がいる、と家森は不満をぶつけます。
別府の「かけたほうが美味しい」という意見には
「カリカリ度が減る」と反撃し、
「かけたほうが健康にいいし」には
「唐揚げ食べる時点で健康の事いったん脇に置いてあるじゃないか」
と二人の意見は対立します。
断りもなしにレモンをかけた行為を見過ごせなかった家森、今度から気をつけますと議論を終わらせようとする別府、唐揚げぐらいとスルーしようとするすずめ、唐揚げだけの問題じゃないと本質を問いかけようとする真紀。
さらに家森は、レモンをかけるという行為は不可逆だ、レモンをかけることを聞く文化には二つの流派があると議論を展開しようとしますが、真紀の
「お気持ちはわかりますが唐揚げが冷えかけています」
の一言でようやく食事がスタートします。
共同生活を始め、4人の性格が浮き彫りになる、深くも楽しい印象的なシーンでした。
◆ベンジャミンが立ち去るシーン
余命9か月がばれ解雇されたベンジャミン(真紀がリークしたからですが)。
風に飛ばされたベレー帽を別府が拾って渡した時「サンクス!」と言い放った言葉に、ベンジャミンの生きざまが籠められているようで感慨深かったです。
◆真紀が夫の失踪を告白するシーン
「人生には3つの坂がある。登り坂下り坂、まさか」
長いこと生きていれば誰しも1つや2つ
「まさか」を経験してるものですよね…。
◆花粉症の家森が大事にしている1箱1600円の高級ティッシュ「紫式部」をすずめが勝手に開封するシーン
「1つだけ~」
と引き出すと
「1枚抜いたら2枚出ますね」
「2人分取ったら3人分出てくるんじゃないんですか」
「追い詰められた連続殺人犯みたいですね」
笑わせていただきました!
◆ブイヤベースを食べながら餃子を語るシーン
家森が作ったブイヤベースを食べながら
「昼から食べる餃子とビールは人類の到達点です」
と餃子の話題が始まります。
「僕がせっかくブイヤベース作ったんだから餃子の話やめません?」と拗ねる家森。
「すみませんブイヤベース美味しいです」と謝りながらも餃子の話に戻ってしまうこのシーン。
「ブイヤベース、ブイヤベース、餃子は嫌い」と呪文のように呟きながら食べるすずめ、気を使っているのか茶化しているのか。
こうした本筋から離れた場面が楽しくて大好きです。
◆終電とは何のためにあるかを語るシーン
九條さんとの関係を追及され、一緒に朝までいても何もなかったと答える別府に家森が言う台詞。
「終電は男女の一線を越える言い訳のためにあるんだよ」
名言集に追加させていただきます!
◆結婚式の演奏を受けるシーン
大切な人の結婚式に演奏してほしいと頼む別府に快諾するすずめと家森。
真紀は「私上手く弾けません」
と下を向くが、間髪入れず家森が
「やるってさ」。
この頃にはお互いの性格をじゅうぶん把握してるんです。
◆有朱がすずめに恋愛教授するシーン
「告白は子どものすることです。大人は誘惑してください」
「猫になるか虎になるか雨に濡れた犬になるか」
「いつキスしてもおかしくないぞ、の距離を作るのが女の仕事です」
それ!と100回ぐらい頷いてしまいました。
◆すずめと真紀がカツ丼を食べるシーン
お蕎麦屋さんで、すずめの父が亡くなった事を伝え、すぐに病院に行こうと言う真紀。
カツ丼を食べてから、と言い張るすずめ。
父のしてきた酷い行いを真紀にぶちまけた後
「食べ終わったら病院行きますね」
と言いながらも
「家族だから行かなきゃだめかな」
と渋るすずめを説得するのかと思いきや
「病院行かなくていいよ。カツ丼食べたら軽井沢帰ろう」と手を握ります。
さらに、「父親死んだのに行かないのって」とためらうすずめに、真紀は「いいの!」と肩の荷を降ろしてくれました。
必ずしも親だから、家族だからという既成概念にとらわれる必要はないことを描いてくれた名場面でした。
◆父親の死の後のすずめの演奏シーン
父親が亡くなった後の演奏で弾き始めて中断し再度弾き始める時のすずめ。
短く息を吸い、止めて弾き始めるすずめが緊迫感に溢れていて最高に格好良かったです。
◆家森が結婚観について語るシーン
「結婚ってこの世の地獄ですよ。妻ってピラニアです。婚姻届けは呪いを叶えるデスノートです」
と家森。
よっぽどの結婚生活だったようですね。
しかし真紀は家森の元妻に
「結婚って天国だ。妻ってノドグロだ。婚姻届けは夢を叶えるドラゴンボールだって言ってましたよ」
と真逆の事を言います。
真紀さん切り替えし上手い。
◆家森が息子と別れるシーン
笑顔で手をふる息子を見送る家森。
やはりこうしたシーンにはやられます。
可愛すぎるアイメイクで励まそうとする3人。
こらえきれず笑ってしまう家森。
いいシーンですよね。
私の中での名シーン1位
◆別府と九條結衣役の菊池亜希子さんが一夜を過ごした朝、ベランダでサッポロ一番を食べる場面、
これが私の中でのベストシーンです。
「(別府と)結婚とかそういうのは無いよ」
「私もずるいけど別府くんもずるい。でも、寒い朝ベランダでサッポロ一番食べたら美味しかった。それがあたしと君のクライマックスでいいんじゃない」
この直前、カフェに例えて九條は2人の関係を語ります。
「あっちにさ、可愛いカフェあるんだけど遠くて。毎回すぐそっちにあるチェーンのほう入っちゃうんだよ。まあそれはそれで美味しいんだよ。こういうタイミングでさ、そうなる男の子の気持ちだってわかるし、こっちだったかなあって思われるのは、まあしゃくだけど気持ちはいいよ」
近くのカフェを選んだ人、選ばなかった人、どちらを選んだとしても
「もしもあの時」
と考えてしまう瞬間をきっと誰でも持ってますよね。

唐揚げのシーンといい、何でもない日常のシーンの中に人と人との濃密な関わりが見え隠れするドラマ「カルテット」。
違和感、ざらつく感触、妥協、自己中な自分。
そんな誰もが感じたことのあるもやもやを、誰もしたことのない表現で魅せてくれる脚本家、坂元裕二さんの筆力と役者さんたちの演技力に脱帽!
3人の過去や思惑も一通り出揃い、今夜の5話からは真紀の夫さん失踪の真相につき進んでゆくのでしょうか。
でもそんな単純に事は運ばないような。
中~終盤にかけてどんな四重奏を魅せてくれるのか楽しみです。
こんにちは、たき子です。
この冬のドラマのなかでも一番のお気に入りは「カルテット」。
謎や嘘や恋や演奏。家族や友情やいろいろなものを独特の台詞で描いているドラマです。
おだやかなようで意外と頑固な別府さん役の松田龍平さん。
こだわりが強いビオリスト。
ウザ面白さが絶妙なバランスを醸し出す家森さん役の高橋一生さん。
別府さんのベッドに潜り込みペットボトル1本分まで顔を近づけた小鳥のような横顔、役名もぴったり、すずめ役のの満島ひかりさん。
落ち着いた人妻の風情なのに案外毒舌の巻真紀さん役の松たか子さん。
別府さんの真紀への告白を「(すずめちゃん)聞いてましたよね」と確認しているのに、別府が好きなら積極的に働きかけるよう助言するし、来杉有朱さん役の吉岡里帆さんに初対面でいきなり「目が笑ってませんよね」と言いにくいことをズバッと言うし。
掴みどころのない4人の中でもとりわけ掴みどころのない役柄です。
この他、真紀に目が笑ってないと指摘された有朱さん。
怖い怖い、この人最初から一番怖かった。人との距離の取り方が絶妙に怖い。
4話でとうとう本領発揮!ですね~。
これ以外にも、真紀の義母役もたいまさこさんや、ニセ余命9か月その名も怪しいベンジャミン瀧田役のイッセー緒方さんなど、一癖も二癖もある旨い役者さんが勢揃いの「カルテット」。
以下は自分勝手な感想です。
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勝手に選んだベストシーン
前半4話までのベストシーンを私目線で振り返ってみました。
◆唐揚げにレモンをかけるか否かのシーン
唐揚げに断りもなくレモンをかけた行為に対し、レモンをかけたい人とかけたくない人がいる、と家森は不満をぶつけます。
別府の「かけたほうが美味しい」という意見には
「カリカリ度が減る」と反撃し、
「かけたほうが健康にいいし」には
「唐揚げ食べる時点で健康の事いったん脇に置いてあるじゃないか」
と二人の意見は対立します。
断りもなしにレモンをかけた行為を見過ごせなかった家森、今度から気をつけますと議論を終わらせようとする別府、唐揚げぐらいとスルーしようとするすずめ、唐揚げだけの問題じゃないと本質を問いかけようとする真紀。
さらに家森は、レモンをかけるという行為は不可逆だ、レモンをかけることを聞く文化には二つの流派があると議論を展開しようとしますが、真紀の
「お気持ちはわかりますが唐揚げが冷えかけています」
の一言でようやく食事がスタートします。
共同生活を始め、4人の性格が浮き彫りになる、深くも楽しい印象的なシーンでした。
◆ベンジャミンが立ち去るシーン
余命9か月がばれ解雇されたベンジャミン(真紀がリークしたからですが)。
風に飛ばされたベレー帽を別府が拾って渡した時「サンクス!」と言い放った言葉に、ベンジャミンの生きざまが籠められているようで感慨深かったです。
◆真紀が夫の失踪を告白するシーン
「人生には3つの坂がある。登り坂下り坂、まさか」
長いこと生きていれば誰しも1つや2つ
「まさか」を経験してるものですよね…。
◆花粉症の家森が大事にしている1箱1600円の高級ティッシュ「紫式部」をすずめが勝手に開封するシーン
「1つだけ~」
と引き出すと
「1枚抜いたら2枚出ますね」
「2人分取ったら3人分出てくるんじゃないんですか」
「追い詰められた連続殺人犯みたいですね」
笑わせていただきました!
◆ブイヤベースを食べながら餃子を語るシーン
家森が作ったブイヤベースを食べながら
「昼から食べる餃子とビールは人類の到達点です」
と餃子の話題が始まります。
「僕がせっかくブイヤベース作ったんだから餃子の話やめません?」と拗ねる家森。
「すみませんブイヤベース美味しいです」と謝りながらも餃子の話に戻ってしまうこのシーン。
「ブイヤベース、ブイヤベース、餃子は嫌い」と呪文のように呟きながら食べるすずめ、気を使っているのか茶化しているのか。
こうした本筋から離れた場面が楽しくて大好きです。
◆終電とは何のためにあるかを語るシーン
九條さんとの関係を追及され、一緒に朝までいても何もなかったと答える別府に家森が言う台詞。
「終電は男女の一線を越える言い訳のためにあるんだよ」
名言集に追加させていただきます!
◆結婚式の演奏を受けるシーン
大切な人の結婚式に演奏してほしいと頼む別府に快諾するすずめと家森。
真紀は「私上手く弾けません」
と下を向くが、間髪入れず家森が
「やるってさ」。
この頃にはお互いの性格をじゅうぶん把握してるんです。
◆有朱がすずめに恋愛教授するシーン
「告白は子どものすることです。大人は誘惑してください」
「猫になるか虎になるか雨に濡れた犬になるか」
「いつキスしてもおかしくないぞ、の距離を作るのが女の仕事です」
それ!と100回ぐらい頷いてしまいました。
◆すずめと真紀がカツ丼を食べるシーン
お蕎麦屋さんで、すずめの父が亡くなった事を伝え、すぐに病院に行こうと言う真紀。
カツ丼を食べてから、と言い張るすずめ。
父のしてきた酷い行いを真紀にぶちまけた後
「食べ終わったら病院行きますね」
と言いながらも
「家族だから行かなきゃだめかな」
と渋るすずめを説得するのかと思いきや
「病院行かなくていいよ。カツ丼食べたら軽井沢帰ろう」と手を握ります。
さらに、「父親死んだのに行かないのって」とためらうすずめに、真紀は「いいの!」と肩の荷を降ろしてくれました。
必ずしも親だから、家族だからという既成概念にとらわれる必要はないことを描いてくれた名場面でした。
◆父親の死の後のすずめの演奏シーン
父親が亡くなった後の演奏で弾き始めて中断し再度弾き始める時のすずめ。
短く息を吸い、止めて弾き始めるすずめが緊迫感に溢れていて最高に格好良かったです。
◆家森が結婚観について語るシーン
「結婚ってこの世の地獄ですよ。妻ってピラニアです。婚姻届けは呪いを叶えるデスノートです」
と家森。
よっぽどの結婚生活だったようですね。
しかし真紀は家森の元妻に
「結婚って天国だ。妻ってノドグロだ。婚姻届けは夢を叶えるドラゴンボールだって言ってましたよ」
と真逆の事を言います。
真紀さん切り替えし上手い。
◆家森が息子と別れるシーン
笑顔で手をふる息子を見送る家森。
やはりこうしたシーンにはやられます。
可愛すぎるアイメイクで励まそうとする3人。
こらえきれず笑ってしまう家森。
いいシーンですよね。
私の中での名シーン1位
◆別府と九條結衣役の菊池亜希子さんが一夜を過ごした朝、ベランダでサッポロ一番を食べる場面、
これが私の中でのベストシーンです。
「(別府と)結婚とかそういうのは無いよ」
「私もずるいけど別府くんもずるい。でも、寒い朝ベランダでサッポロ一番食べたら美味しかった。それがあたしと君のクライマックスでいいんじゃない」
この直前、カフェに例えて九條は2人の関係を語ります。
「あっちにさ、可愛いカフェあるんだけど遠くて。毎回すぐそっちにあるチェーンのほう入っちゃうんだよ。まあそれはそれで美味しいんだよ。こういうタイミングでさ、そうなる男の子の気持ちだってわかるし、こっちだったかなあって思われるのは、まあしゃくだけど気持ちはいいよ」
近くのカフェを選んだ人、選ばなかった人、どちらを選んだとしても
「もしもあの時」
と考えてしまう瞬間をきっと誰でも持ってますよね。
唐揚げのシーンといい、何でもない日常のシーンの中に人と人との濃密な関わりが見え隠れするドラマ「カルテット」。
違和感、ざらつく感触、妥協、自己中な自分。
そんな誰もが感じたことのあるもやもやを、誰もしたことのない表現で魅せてくれる脚本家、坂元裕二さんの筆力と役者さんたちの演技力に脱帽!
3人の過去や思惑も一通り出揃い、今夜の5話からは真紀の夫さん失踪の真相につき進んでゆくのでしょうか。
でもそんな単純に事は運ばないような。
中~終盤にかけてどんな四重奏を魅せてくれるのか楽しみです。