おばちゃんDays

調理師たき子によるオオサカのおばちゃんブログ

学校給食のオキテ26箇条(前編)     ♦転職DAYS 番外編♦

びっくりぽんの連続
   学校給食というお仕事




こんにちは、たき子です。

学校給食と聞いてどんなイメージを持ちますか?

大きな釜、白衣にマスク。
そう、その通りです。
でも、それだけではありません。

昨年、天海祐希さん主演のドラマ「三つ星の給食」でも演じられていたように、白衣を着て大きな釜で大量の料理を作る。
大量調理という、規模こそ違いますが、料理を作るという点では一般のレストランや食堂と同じはずのこの仕事、そこには学校給食ならではの特殊な世界が広がっており、独特のオキテが存在するのです。

ちょうど春の転職シーズンで学校給食の求人もたくさん出ています。

学校給食の仕事を検討している人の参考になればいいなと思い、転職DAYSの番外編として、学校給食のオキテというかしきたりというか、そんな学校給食あるあるをお届けします。

なお、私の情報が大阪市の学校給食もしくは、大阪市の近隣市町村であることと、ここでいう調理員とは、市職員の調理員ではなく業界委託によるものであることをご承知おきください。

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小学校給食の仕事基礎知識


オキテご紹介の前にまず大阪市小学校給食の基礎知識を。

○ 大阪市全域で同じメニューが出されます。
区を5つのブロックに分け、ブロックごとにメニューの順番は異なりますが、1か月単位で見ると全ての区で同じメニューが出されることになります。

○ メニューは毎月全校生徒に配られます。
メニュー表には材料や分量、作り方が書かれています。
ドラマ「三つ星の給食」に天海祐希がしていたような、材料が同じだからといって急にメニューを変更するというような事はできません。
決められている材料や調味料以外を使うこともできません。

○ 前日からの仕込みはなどはできません。
全てその日に調理し提供されます。

○ 給食は全て自校給食で作っています。
給食センターで作り配送するシステムではありません。

○ 生鮮食品は全て同日の早朝に届けられます。

○ 食品アレルギー対応は、アレルギー食品を除いた除去食になります。
アレルギー対応食品は卵、うずら卵、海老、粉チーズ、麩、マカロニ、ワンタンの皮です。
調理の最終段階、アレルギー対応食品を投入する前の状態で取り分けます。

○ 食中毒予防のため、全てのメニューは給食開始時刻の2時間前より早く完成させてはいけません。たとえ下準備が早く終わったとしても、調理出来上がり時刻を早めることは出来ないのです。



給食室の一日


次に、給食室の一日の仕事の流れです。

7時40分
出勤。
チェック表に健康状態など調理に携われるかをチェックする

7時45分
マスクをつけ、帽子をかぶって髪が出ないようにし、白衣に着替える。
コロコロを全身にかけ、ほこりや髪の毛がついているのを取る。

8時
コックシューズまたは長靴を履き調理室に入る。
鏡で髪の毛が帽子からはみ出てないかチェック。
念入りに手洗いし、アルコールも手にすりこむ。

8時5分
水質検査、調理室内のアルコール消毒を行う。
屋外冷蔵庫から野菜などの食材を取りだし検品。

8時10分
下処理室の3槽のシンクに水をため、3回ずつ野菜を洗う。
野菜ごとに全ての水を変える。
ホウレン草などの葉野菜は、根を取り一枚ずつ汚れや虫がないかをチェックしながら洗う。
モヤシも種の皮を取り除く。
じゃがいもなどは皮剥き機で大きな皮を剥いた後、さらにピーラーで残った皮や芽を取り除く。
牛乳の担当は、牛乳をクラスごとに数を数えて牛乳かごに入れ替え冷蔵庫に入れる。

8時30分
自校炊飯の学校は米を計り浸水しておく。

9時
パートが出勤。朝礼でその日の担当や作業を確認する。

9時5分
野菜などを切る。野菜は切菜機を使えるものは使うこともある。
パン食の日は、数を数えながらパンをクラスのパン箱に移しかえる。
マカロニを茹でるなどの下準備も行いスムーズな本調理を行えるようにする。
栄養士は調味料の計量をしてボールなどに移し替えておく。
下処理室担当は、野菜を洗った後のシンクを洗い、肉の解凍や魚の準備をする。

10時15分
自校炊飯の学校は炊飯機を点火する。炊飯機の設備がない学校は、炊き上がったご飯がクラスごとに分けられた状態で届けられる。

10時30分
本調理の開始。

10時45分
炊き上がったご飯をご飯用の保管箱に移し替える。

11時
副菜などが完成すれば、クラスごとに計りながら食缶(給食を入れて運ぶバケツのような容器)に分けてゆく。

12時
全ての料理を完成させ、検食を教頭などに届ける。

12時10分
検食でOKが出ればメインのおかずも食缶に分ける。

12時30分
交代で休憩。生徒と同じ給食を食べる。
(給食費は同じ金額を払います)
残った調理員は使った釜や器具、ザルなどを洗浄する。
児童が給食を取りにくるので補助する。

13時
翌日の野菜の一部が届いているので検品。
じゃがいもや玉ねぎなど常温保存の野菜は段ボール箱から移し替え室内に保管。
洗濯機で洗った調理用エプロンを干す。

13時15分
児童が返却してくる食器や食缶を洗浄。
食缶やお玉などは、3つのシンクにお湯をため、洗浄、すすぎ、すすぎの後乾燥庫に入れる。
食器は一枚ずつ手洗いし2回すすいだ後、高温の湯が噴射するすすぎ機を通してからクラスの数ごとにかごに入れ乾燥庫に入れる。
箸やスプーンは手洗いし、すすいだ後クラスごとに数を数える。

14時30分
すべての洗浄が終わればシンクや調理台などを洗う。
また、床を水で流して食べ物のカスなどが残らないようにする。
シンクや調理台には、薄めた次亜塩素酸をまき、ハンドワイパーで水切り後フキンで拭きあげる。
床にも薄めた次亜塩素酸をまき、ワイパーで水を切る。

14時50分
洗浄用のエプロンを手洗いし干す。
ゴミや残食を捨てに行く。

15時
作業終了。
パートは着替えて帰宅。
社員は残り、大阪市や外食への提出書類を書く。
個包装のジャムやソースなどをクラスごとに分けて数える作業をすることもある。
この作業は、余裕がある現場では調理中の空いた時間にすることもある。

17時
社員帰宅。


以上が、だいたいの一日の流れです。
一日終わるとそうとう疲れます。

午前中の調理は野菜の洗いや点検など目や手先を使う作業が多いですし、調理中は給食の状態に常に気を配り、どんなトラブルが起きようと給食開始時間までに仕上げなければならないので、とにかく神経を使いっぱなしです。

午後の洗浄は体力勝負です。
カレーなどの脂ぎった食缶や、ご飯のこびりついた皿やしゃもじを何十個も洗うため、腕は逞しく鍛えられること間違いなしです。
食器洗いも、一人で1000枚ほどのお皿を洗うこともあります。
皆、早く終わらせて開放されたい一心でひたすら手を動かします。

流れだけみると、一般の学校の食堂や社員食道などと大差はないように思えるかもしれませんが、学校給食ならではの特殊な所はこれからです。
次回では、いよいよオキテ26箇条を大公開させてもらいますね!

学校給食のオキテ26箇条 中編はこちら
学校給食のオキテ26箇条 後編はこちら