『サービス付き高齢者住宅』ってどうなの?③これからのサ高住に期待すること
こんにちは、たき子です。
一昨日は『サービス付き高齢者住宅ってどうなの?』の1回目『サ高住の現状』を、
【『①サ高住の現状』の記事はこちら】
そして昨日は見学して回った情報を元に『サ高住の中身』の記事を書かせていただきました。
【『②サ高住の中身』の記事はこちら】
今日最終回は、つい最近参加したサ高住説明会の様子をご紹介したあと、まとめとして私の考える『これからのサ高住に期待する事』を書かせていただきます。
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その前にまず、私の母のサ高住入居計画がどうなったかをお話させてもらいますね~。
サ高住入居は白紙に
4年前、母の「老人ホームへ入りたい」という言葉から、様々なサ高住を見学しました。
入居前提で考えていたのですが、結局は白紙に戻りました。
当時母はまだ自転車にも乗れ、自分で定食屋に行ったり、惣菜を買ってきたりと食事に困ることもなく、住んでいる賃貸住宅の暮らし自体には不自由を感じることがなかったのです。
「老人ホームへ入りたい」という理由が「倒れた時に一人では不安」だという理由だけだったので、『サ高住』に移るメリットより『引っ越す』リスクのほうが大きいのではないかと考えたのですよね。
引っ越すリスクとは主に、
・環境が変わることで認知症が進む恐れがある
・かかりつけ医が変わる
・行きつけの喫茶店やご近所などこれまでの交友関係がなくなる
の3点でした。
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仮に、気に入った『サ高住』が、今住んでいる賃貸住宅のすぐそばにあり、生活圏が変わらなかったとしたら決断していたかもしれませんが、こうしたリスクを犯してまで『サ高住』に入居するほどの理由を持っていませんでした。
そこで、『サ高住』への入居はいったん白紙に戻し、週に2回の訪問介護でヘルパーさんに来ていただくことにしたのです。
ヘルパーさんに掃除や入浴補助などをしてもらい、話を聞いてもらい、お茶の相手をしてもらうことで、母はいつのまにか「老人ホームへ入りたい」とは言わなくなっていました。
今では、最初は嫌がっていたデイサービスにも通いだし楽しそうにしています。
「一人だと倒れたとき不安だ」というのもあったかもしれませんが、本当は寂しかったのかもしれません。
生協の『サ高住』説明会
こうして『サ高住』への入居は白紙に戻ったのになぜ今回説明会に参加したかというと、生協のチラシに来春オープンするサ高住の説明会の案内を見たからです。
いったん白紙に戻したとはいえ、母の認知症は徐々に進行しています。
いつまた必要になるかもしれないので、新たな『サ高住』の情報を仕入れておこうと思ったのです。

説明会には、広めの会議室ほどの場所に12~13名参加しておられました。
入居条件はこれまで調べた『サ高住』と同じようなものかと思いましたが、60未満でも要介護認定を受けていれば入居できるようです。
生協の施設なのでパルコープの組合員という条件もありますね~。
提供されるサービスは他と大差ないようです。

敷金が15万円で、賃料は食事込みで17万円。
若干お高めなようです。
15分ほどの全体の説明の後、個別相談タイムに移り、各テーブルに説明員の方がつきました。
『パル都島』の一番のメリットは防災設備かなと思います。
各部屋にはベランダがあります。
ベランダがあるだけでもめずらしいのですが、非常時に防災壁を破ると隣のベランダを通過でき、非常階段まで行けるそうなんです。
これは完成模型で、この建物の右にあるのが非常階段です。
『サ高住』の多くは避難のために袋の中を滑り降りないといけないが、実際は高齢者が袋を滑り降りるのは難しいので非常階段をつけたのだと強調しておられました。
「安全」「家族にとって便利」
以外のニーズは?
サ高住『パル都島』の防災意識は素晴らしいと思います。
また、交通の便がよく、来訪者が車を必要としないというのもメリットです。
しかし、安全性という実利と、入居者家族の便宜ばかりを謳って、入居する高齢者自身の満足度を二の次にしているのではないかという疑問を感じました。
『パル都島』は住宅街にあり、一番近いスーパーまで徒歩10分というのは資料に記載されていました。
しかし、今や高齢者の社交場とも言える喫茶店と、来客のうち高齢者の割合が高くなっているコンビニの場所が記載されていないので尋ねたところ、係の方は把握しておられませんでした。
そこで、その場でスマホで調べると、近いコンビニまで5分と検索されましたが、高齢者の足ならもっとかかるであろうと思われます。
ちなみに、喫茶店までは3分でした。
係の方に
「必要なものは生協で届けますよ」
と言われたので、
自分の足で出かけて商品を選んだり、喫茶店でママや常連さんとおしゃべりしたり、そういうことが重要なのだと力説して帰ってきたのですが、どこまでこちらの意を理解してくださったかは不明です。
もちろん、こうしたニーズは地域により変わると思います。
都会暮らしの高齢者にとってはなくてはならないコンビニは、地方に暮らす高齢者には不要なニーズかもしれません。
ただ、これは単なる一例で、私が問いたいのはサービスを供給する側の姿勢なのですよね。
必要な物を供給できるだけではなく、満足度を上げてこそ利用者の生活は豊かものになるのだということを真剣に考えていれば、もう少し違ってくると思うのです。
選べない朝食
朝食に関してもそうです。
朝食は和食で、和食か洋食かといった選択はできないのです。
私の母は80代でパン党なのですが、母に限らず、実は高齢者ほどパン食は増えるそうで、最もパン食の割合が多い世代は60代だそうです。
高齢者がパンよりご飯が好きだという決めつけるのではなくちゃんとニーズを調べれば、和食か洋食かという選択が無理でも、日替わりにするなどの配慮があるのではないかと思えるのですよね。
安全・安心は大切だけど、それだけで人は生きていけない。
そんな思いを強く感じた説明会でした。
これからの『サ高住』
まとめとなりますが、これまで3日間に渡り、
○介護保険制度の歪みからくる『サ高住』の本末転倒な現状、
○一口に『サ高住』といっても様々な違いがあることから足を使って探したほうがよいということ、
○そして、利用者本位のサービスを提供してほしいという私自身の思い
以上を書かせていただきました。
最後にこれからの新しい『サ高住』の形とも言える取り組みが、初日にもご紹介したNHKスペシャル「人生100年時代を生きる・終の住みかはどこに」の中で放送されていたので、それをご紹介して終わらせていただきたいと思います。
新しい取り組みの『サ高住』
一日目に、
要介護が低い高齢者ばかりが入居者すると、事業所(サ高住)に入る収入が減り経営が成り立たなくなるので、要介護が低いわりに手間がかかる認知症患者などを断る『サ高住』が増えている
というサ高住の現状をご紹介しました。
そんな本来喜ぶべき要介護度の低さを喜べないというジレンマの中、介護度を軽くするノウハウを持ち、介護度改善に取り組んでいる『サ高住』が登場してきたと言うのです。
岡山のあるサ高住では、リハビリ器具を共有スペースに置きスタッフと共にリハビリに力をいれています。
このサ高住では、入居者の要介護度が下がり介護報酬が減りことで足りなくなる資金を補うため、一般的なサ高住より3万円(月)高く設定しているにも関わらず人気で入居希望者が後を絶たないのだそうです。
小さな目標が重要
リハビリの目的は、小さな事なのだと言います。
ある男性の目標は、
“一人で外出する”こと。

一人で外出して
“外で酒を飲みたい”のだそうです。
その人にとっては、タクシーから降りて居酒屋の席につく、そのほんの少しの距離を歩けるようになりたいのです。
駅までの5分の距離ではなく、小さい目標。
でもそれがその人の生きる希望だとその『サ高住』ではわかっているのですね。
小さな目的を叶えるために小さな目標を持つ。
そのために体の調子をよくする、そのお手伝いをするのがリハビリだと。
単に体を動かすだけではなく、何かの楽しみのためのリハビリなのです。
それこそが、私の求めている『サ高住』ひいては介護の形だと思いました。
いざという時はぜひそういう、生きる楽しみを見つける手伝いをしてくれる『サ高住』にお世話になりたいものだと思いました。
考えてみることで楽になった
今回のブログを読んでくださった方々から、老後の問題は「できれば考えたくない話題」「考えると暗くなる」というご意見をいただきました。
本当にその通りだと思います。
若く元気なままいられたら良いのにと願わずにはいられません。
けれど、老いは全ての人に平等にやってきます。
残念ながら避けられないし、だからこそ今を大切にしたいという気持ちにもなるのだと思います。
そして、できるだけ良い老後を過ごすために何ができるか、たまにはそんなことを考えてみるのもいいかなと思ったりしています。
母の『サ高住』探しの中で自分自身の老後をも考えるようになったんです。
考えてみることで気持ちの準備ができ、必要なものが見えてきて、そこから来るべき老後を少しでも楽しく暮らす知恵を身に付けたいと思いました。
それは、結果的に自分自身を楽にすることではないかと思うのですが、皆さまはどう思われますか?
よければご意見お聞かせください♥
さて、気の張るこの話題はこれまでです!
重い話題に長々とお付き合いくださり本当にありがとうございます。
明日は一転して、かる~いアルコールの話題で週末に突入したいと思っていますので、また明日、よければ覗きにきてくださいね~♪
本日の日めくりカレンダーです。
12月14日(金)
『親の意見と冷や酒は後で利く』
一昨日は『サービス付き高齢者住宅ってどうなの?』の1回目『サ高住の現状』を、
【『①サ高住の現状』の記事はこちら】
そして昨日は見学して回った情報を元に『サ高住の中身』の記事を書かせていただきました。
【『②サ高住の中身』の記事はこちら】
今日最終回は、つい最近参加したサ高住説明会の様子をご紹介したあと、まとめとして私の考える『これからのサ高住に期待する事』を書かせていただきます。
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その前にまず、私の母のサ高住入居計画がどうなったかをお話させてもらいますね~。
サ高住入居は白紙に
4年前、母の「老人ホームへ入りたい」という言葉から、様々なサ高住を見学しました。
入居前提で考えていたのですが、結局は白紙に戻りました。
当時母はまだ自転車にも乗れ、自分で定食屋に行ったり、惣菜を買ってきたりと食事に困ることもなく、住んでいる賃貸住宅の暮らし自体には不自由を感じることがなかったのです。
「老人ホームへ入りたい」という理由が「倒れた時に一人では不安」だという理由だけだったので、『サ高住』に移るメリットより『引っ越す』リスクのほうが大きいのではないかと考えたのですよね。
引っ越すリスクとは主に、
・環境が変わることで認知症が進む恐れがある
・かかりつけ医が変わる
・行きつけの喫茶店やご近所などこれまでの交友関係がなくなる
の3点でした。
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仮に、気に入った『サ高住』が、今住んでいる賃貸住宅のすぐそばにあり、生活圏が変わらなかったとしたら決断していたかもしれませんが、こうしたリスクを犯してまで『サ高住』に入居するほどの理由を持っていませんでした。
そこで、『サ高住』への入居はいったん白紙に戻し、週に2回の訪問介護でヘルパーさんに来ていただくことにしたのです。
ヘルパーさんに掃除や入浴補助などをしてもらい、話を聞いてもらい、お茶の相手をしてもらうことで、母はいつのまにか「老人ホームへ入りたい」とは言わなくなっていました。
今では、最初は嫌がっていたデイサービスにも通いだし楽しそうにしています。
「一人だと倒れたとき不安だ」というのもあったかもしれませんが、本当は寂しかったのかもしれません。
生協の『サ高住』説明会
こうして『サ高住』への入居は白紙に戻ったのになぜ今回説明会に参加したかというと、生協のチラシに来春オープンするサ高住の説明会の案内を見たからです。

いったん白紙に戻したとはいえ、母の認知症は徐々に進行しています。
いつまた必要になるかもしれないので、新たな『サ高住』の情報を仕入れておこうと思ったのです。

説明会には、広めの会議室ほどの場所に12~13名参加しておられました。

入居条件はこれまで調べた『サ高住』と同じようなものかと思いましたが、60未満でも要介護認定を受けていれば入居できるようです。
生協の施設なのでパルコープの組合員という条件もありますね~。

提供されるサービスは他と大差ないようです。


敷金が15万円で、賃料は食事込みで17万円。
若干お高めなようです。

15分ほどの全体の説明の後、個別相談タイムに移り、各テーブルに説明員の方がつきました。
『パル都島』の一番のメリットは防災設備かなと思います。
各部屋にはベランダがあります。
ベランダがあるだけでもめずらしいのですが、非常時に防災壁を破ると隣のベランダを通過でき、非常階段まで行けるそうなんです。

これは完成模型で、この建物の右にあるのが非常階段です。

『サ高住』の多くは避難のために袋の中を滑り降りないといけないが、実際は高齢者が袋を滑り降りるのは難しいので非常階段をつけたのだと強調しておられました。
「安全」「家族にとって便利」
以外のニーズは?
サ高住『パル都島』の防災意識は素晴らしいと思います。
また、交通の便がよく、来訪者が車を必要としないというのもメリットです。
しかし、安全性という実利と、入居者家族の便宜ばかりを謳って、入居する高齢者自身の満足度を二の次にしているのではないかという疑問を感じました。

『パル都島』は住宅街にあり、一番近いスーパーまで徒歩10分というのは資料に記載されていました。
しかし、今や高齢者の社交場とも言える喫茶店と、来客のうち高齢者の割合が高くなっているコンビニの場所が記載されていないので尋ねたところ、係の方は把握しておられませんでした。
そこで、その場でスマホで調べると、近いコンビニまで5分と検索されましたが、高齢者の足ならもっとかかるであろうと思われます。
ちなみに、喫茶店までは3分でした。
係の方に
「必要なものは生協で届けますよ」
と言われたので、
自分の足で出かけて商品を選んだり、喫茶店でママや常連さんとおしゃべりしたり、そういうことが重要なのだと力説して帰ってきたのですが、どこまでこちらの意を理解してくださったかは不明です。
もちろん、こうしたニーズは地域により変わると思います。
都会暮らしの高齢者にとってはなくてはならないコンビニは、地方に暮らす高齢者には不要なニーズかもしれません。
ただ、これは単なる一例で、私が問いたいのはサービスを供給する側の姿勢なのですよね。
必要な物を供給できるだけではなく、満足度を上げてこそ利用者の生活は豊かものになるのだということを真剣に考えていれば、もう少し違ってくると思うのです。
選べない朝食
朝食に関してもそうです。
朝食は和食で、和食か洋食かといった選択はできないのです。
私の母は80代でパン党なのですが、母に限らず、実は高齢者ほどパン食は増えるそうで、最もパン食の割合が多い世代は60代だそうです。
高齢者がパンよりご飯が好きだという決めつけるのではなくちゃんとニーズを調べれば、和食か洋食かという選択が無理でも、日替わりにするなどの配慮があるのではないかと思えるのですよね。
安全・安心は大切だけど、それだけで人は生きていけない。
そんな思いを強く感じた説明会でした。
これからの『サ高住』
まとめとなりますが、これまで3日間に渡り、
○介護保険制度の歪みからくる『サ高住』の本末転倒な現状、
○一口に『サ高住』といっても様々な違いがあることから足を使って探したほうがよいということ、
○そして、利用者本位のサービスを提供してほしいという私自身の思い
以上を書かせていただきました。
最後にこれからの新しい『サ高住』の形とも言える取り組みが、初日にもご紹介したNHKスペシャル「人生100年時代を生きる・終の住みかはどこに」の中で放送されていたので、それをご紹介して終わらせていただきたいと思います。
新しい取り組みの『サ高住』
一日目に、
要介護が低い高齢者ばかりが入居者すると、事業所(サ高住)に入る収入が減り経営が成り立たなくなるので、要介護が低いわりに手間がかかる認知症患者などを断る『サ高住』が増えている
というサ高住の現状をご紹介しました。
そんな本来喜ぶべき要介護度の低さを喜べないというジレンマの中、介護度を軽くするノウハウを持ち、介護度改善に取り組んでいる『サ高住』が登場してきたと言うのです。
岡山のあるサ高住では、リハビリ器具を共有スペースに置きスタッフと共にリハビリに力をいれています。
このサ高住では、入居者の要介護度が下がり介護報酬が減りことで足りなくなる資金を補うため、一般的なサ高住より3万円(月)高く設定しているにも関わらず人気で入居希望者が後を絶たないのだそうです。
小さな目標が重要
リハビリの目的は、小さな事なのだと言います。
ある男性の目標は、
“一人で外出する”こと。
一人で外出して
“外で酒を飲みたい”のだそうです。
その人にとっては、タクシーから降りて居酒屋の席につく、そのほんの少しの距離を歩けるようになりたいのです。
駅までの5分の距離ではなく、小さい目標。
でもそれがその人の生きる希望だとその『サ高住』ではわかっているのですね。
小さな目的を叶えるために小さな目標を持つ。
そのために体の調子をよくする、そのお手伝いをするのがリハビリだと。
単に体を動かすだけではなく、何かの楽しみのためのリハビリなのです。
それこそが、私の求めている『サ高住』ひいては介護の形だと思いました。
いざという時はぜひそういう、生きる楽しみを見つける手伝いをしてくれる『サ高住』にお世話になりたいものだと思いました。
考えてみることで楽になった
今回のブログを読んでくださった方々から、老後の問題は「できれば考えたくない話題」「考えると暗くなる」というご意見をいただきました。
本当にその通りだと思います。
若く元気なままいられたら良いのにと願わずにはいられません。
けれど、老いは全ての人に平等にやってきます。
残念ながら避けられないし、だからこそ今を大切にしたいという気持ちにもなるのだと思います。
そして、できるだけ良い老後を過ごすために何ができるか、たまにはそんなことを考えてみるのもいいかなと思ったりしています。
母の『サ高住』探しの中で自分自身の老後をも考えるようになったんです。
考えてみることで気持ちの準備ができ、必要なものが見えてきて、そこから来るべき老後を少しでも楽しく暮らす知恵を身に付けたいと思いました。
それは、結果的に自分自身を楽にすることではないかと思うのですが、皆さまはどう思われますか?
よければご意見お聞かせください♥
さて、気の張るこの話題はこれまでです!
重い話題に長々とお付き合いくださり本当にありがとうございます。
明日は一転して、かる~いアルコールの話題で週末に突入したいと思っていますので、また明日、よければ覗きにきてくださいね~♪
本日の日めくりカレンダーです。
12月14日(金)

『親の意見と冷や酒は後で利く』